目尻切開とは
目尻切開は外眼角を全層で切開して瞼裂を外側方向に拡大する手術です。
当院の目尻切開
目尻切開には様々な方法がありますが,ここでは当院の目尻切開について解説します。
皮膚切開の方向
まず皮膚切開の方向ですが,当院では外尾側に約4-5mm切開します。外尾側に切開する方が水平方向への切開に比べて効果が大きいと考えているからです。
外側眼瞼靱帯の処理
外側眼瞼靱帯は切離し,下眼瞼に可動性を与えます。
皮膚とグレイラインの処理
術直後に外眼角形態が歪になることがありますが,経過とともになじんでいくため,手術の時点では皮膚やグレイラインの切除による修正は原則しません。
この方法を採用する理由
当院の目尻切開は土井先生の報告された方法を基本としています。
これ以外の目尻切開の方法としてW形成を用いるものも知られています。しかし目尻切開では眼球を納めている眼窩のポケットの深さ以上には切れません。この解剖学的な限界により,どの様な方法を用いても広げられる量に大差はないため,よりシンプルな本法を採用しています。
目尻切開のリスク
感染,左右差,期待ほどの効果を感じないなどがリスクとして挙げられます。
目尻切開はどの様な人に勧められるか
目尻切開で広がる瞼裂の方向は実際には外側後方となるため,正面から見たときに効果が分かりにくい難点があります。また,目尻側の皮膚の被さりが多ければそもそも見えにくい部分の手術です。
そのため,決して万人にお勧めできる手術ではないと考えています。上記のことを理解された上でそれでも希望する人には勧められると考えています。
前述した様に目尻切開の効果には解剖学的な限界があります。結膜円蓋が深い人,目尻側の上眼瞼のタルミが少ない人はより効果を実感しやすいでしょう。